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〜開催報告〜 日本臨床歯科学会 東京支部 第1回 Webinarテクニシャンミーティング  

東京支部 分科会Webテクニシャンミーティングのご案内

演者には技工士の土屋覚先生、阿部倫一郎先生、技工士の西高広先生(大阪SJCD)に講演して頂きます。

Web配信ですので全支部参加可能です。 雑誌紙面や講演会等でもなかなか知ることのできない日々の臨床のリアルな質疑応答を交えながら行いたいと思います。是非お付き合いの歯科医師、歯科技工士、また歯科衛生士をお誘い合わせのうえご参加頂けますようお願いいたします。

【日時】 7月24日(日) 10:00〜13:40

【演者】
一般講演1 
土屋覚先生 / DENTCRAFTstudio
 「SOPHISTICATION FOR COMMON SENSE OF THE RESTORATIVE DENTISTRY」


一般講演2 
阿部倫一郎先生 / あべ歯科医院
 「MTAPを応用したフルマウス症例」

一般講演3
西高広先生 / ㈱LaLuce design work’s
 「ノンプレップフルマウスに於けるラボワークの実際」

〜〜追記〜〜

日本臨床歯科学会東京支部、2022年度テクニシャンミーテングが7月24日()10:00~オンラインにて司会を祖父江学先生、座長を間中道郎先生、そして河田裕夫理事の挨拶のもと開催された。会に先立ち、5月17日に永眠された皆川仁先生(東京SJCD理事)へ黙祷を捧げた。

 年に1度のテクニシャンミーティング、updateにふさわしい内容となった。土屋覚先生は「ノンプレップベニア」の話を、阿部倫一郎先生は「MTAP」の話を、西高広先生は「ノンプレップにおけるラボワーク」の話をそれぞれ解説された。ノンプレップの考え方から、臨床テクニック、技工テクニックまで、網羅された内容となった。今回の内容は、土屋先生が10年かけて取り組んだ症例から生まれ、優れた臨床実感を得たと語り、「みんなにもやってほしい!みんなにもマスターしてほしい!」との思いから、コース開催を考えている旨も話された。

教育講演1

「Sophistication for common sense of the restorative dentistry」

 DENTCRAFT studio  土屋覚 先生

何故に健康を損なうのか、何故に歯科健康を損なうのか…思考を深め行動を常に更新すべきと話し、修復・補綴の分野から修復法を用い、進化した予防歯科とも言うべき私の理論と実際を解説すると話を始められた。ケースは3つ。ノンプレップベニアのケースであった。ノンプレップであるため、修復するためには1歯につき2ピースもしくは3ピースのベニアを接着させる、10年前から根拠はないものの、削らなくてもやりようがあるなら挑戦したい、もし取れても削ってないから、何も変化ないと考え、ノンプレップでの修復を始めたといい、それがよく維持されていることから、本格 に臨床に取り入れたそう。

臨床実感として、象牙質は接着しにくく、エナメル質はしっかりつく。削らない修復治療は、予防的に考えても、効果的だといい、手間とお金がかかるものの、これからの修復治療の引き出しとして、みんなに知ってほしい、伝えたいと話をされた。

最後に大切なことは、治療は1人ではなかなかできない、歯科医師も歯科技工士もお互いがプロフェッショナルとなり、協力しなければいけないと話し、「歯科を楽しめ!」とエールを送られた。

教育講演2

 「MTAPを応用したフルマウス症例」

 あべ歯科医院  阿部倫一郎先生

MTAP  (Morphological Tooth Augumentation procedure :歯牙に対して望ましい形態を付与する手法)は、山﨑長郎先生が提唱する新しいコンセプト&テクニック。そのMTAPを応用したフルマウス症例であり、教育講演1で示されたノンプレップを応用したケースでもある、前歯部・臼歯部へのラミネートベニア修復の可能性を一緒に考察したいとし、診査診断から最終補綴物作成まで自らの手で行ったケースを紹介された。従来の補綴物製作過程と異なり、プロビジョナルの製作法、作業用模型でのマージン部のトリミングが別物といい、そのポイントを重点的に解説された。症例は、ガミーfaceで咬合平面の傾斜を伴う顎変形症、大変難しい症例であった。診査診断を隙間なく捉え、wax up、治療計画も熟考された内容だった。治療結果は、形態も審美もよく表現できていたと思う。必死さが伝わってくる。素晴らしい症例だったと思う。このケースがどのように維持されるのか?変化していくのか?興味深い。今後の報告を待ちたい。

阿部先生は2016年に歯科医師になった、原宿デンタルオフィスでの経験や体験、臨床の師山﨑先生、技工の師土屋先生から学んだこと、時間を益々実り多いものとしてほしいと願うばかり、若き歯科医師の今後に期待してやまない。

教育講演3

 「ノンプレップフルマウスに於けるラボワークの実際」

 (株)LaLuce design work’s  西高広先生

二人目の演者は西高広先生/(株)LaLuce design work’s「ノンプレップフルマウスに於けるラボワークの実際」という演題で講演された。ノンプレップは違う視点で考えないといけない。

今までの補綴治療で製作していた概念とノンプレップは異なることを話されていた。本症例の患者の主訴は審美障害と睡眠時無呼吸症候群の改善でノンプレップで対応しようと決めた。下顎位を少し前方にだしてバイトアップを行い、診断用ワックスアップからコンポジットレジン填入用のマトリックスを作成し、プロビジョナルレストレーションで試行錯誤を行った。MRI撮影し関節が問題ないか、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善がみらえるか審美的に問題ないかを確認し、ファイナルレストレーションへ移行していた。

– ディスカッション –

たくさんの質問があり、多いに盛り上がった。その中でMTAPの最大のメリットは何かとの問いに歯を予防できると演者のみなさんから回答があった。セラミックスでエナメル質をオーバーに被覆し、補綴物と歯質の界面を象牙質から離すことができる。これは歯の予防になると説明し、今までの歯科の考えではあまりなかった概念であろう。非常に貴重なディスカッションがあり、大変勉強になった。

最後に担当理事の河田先生から閉会のあいさつがあった。歯のクラック部分をセラミックスで被覆することで歯の予防ができる。今までのSJCDの考えと変わってきていると話され、これからの歯科の変化を感じ、本日は非常に楽しめたと締め、閉会とした。

文責:日本臨床歯科学会東京支部広報委員会

       高島浩二 望月力 山口宜伸


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