日本臨床歯科学会 東京支部 第3回Web例会 開催報告
【日時】202 2年3月6 日(日) 12:00 〜
【演者】–教育講演1 – 山口文誉 先生(山口歯科医院)
「『原著論文』執筆までの道のり」
–教育講演2- 綿引淳一先生 (東京日本橋AQUA歯科矯正歯科 包括CLINIC )
「トップクリニシャンにとって必要な臨床研究とは」
–教育講演3- 山口文誉 先生(山口歯科医院) 鈴木真名 先生(鈴木歯科医院)
「 “低侵襲“外科治療により進化する『フラップデザイン』」
–技術紹介 – 大河原純也 先生(ありす歯科医院) 鈴木真名 先生(鈴木歯科医院)
「遠隔手術支援によるペリオドンタルマイクロサージェリー 」
–一般講演 – 中野忠彦 先生(NAKANO DENTAL)
「包括的歯科治療により審美的、機能的改善が認められた症例」
4月16日 追記
第3回Web例会 開催報告
2022年3月6日(日)12:00より2021年度日本臨床歯科学会東京支部の第3回例会が開催された。今回もwebinarで行われ、チェアマンに鈴木真名先生、サブチェアマンを大河原純也先生、モデレーターを松本邦夫先生に務めて頂いた。司会の高山祐輔先生からの進行で初めに大河雅之会長の挨拶から始まった。会場では万全の感染対策が行なわれていた。
教育講演1
『原著論文』執筆までの道のり
山口歯科医院 山口文誉 先生
現在、日本臨床歯科学会では研究と論文を書く事を押し進めている。山口先生には『原著論文』がどの様なものなのか、どういう風に書いていくのかを各ステップを分かりやすく発表して頂いた。そして現在、数名の日本臨床歯科学会員と共に原著論文を書いている。その原著論文を作成する過程をご自身の経験をもとに発表された。その原著論文が発表される秋の学術大会が非常に楽しみな発表となり、今後日本臨床歯科学会において『原著論文』を執筆していく先生方にとって、どのような手順で論文を書くようにするか分かりやすくとても為になる内容であった。
教育講演2
トップクリニシャンにとって必要な臨床研究とは
東京日本橋AQU歯科・矯正歯科 包括CLINIC
綿引淳一 先生
続いての教育講演は綿引先生による臨床研究について講演頂いた。
我々臨床家にとって臨床研究がなぜ大事なのか、臨床研究をどうやっていく上で研究テーマ及び研究デザイン立案のポイントを研究例を用いてお話頂き、日本臨床歯科学会員としても今後綿引先生を中心に学術委員会立ち上がっているので、臨床研究が盛んに行われる事が期待される。
教育講演3
「”低侵襲”『外科治療により進化する『フラップデザイン』」
山口歯科医院 山口文誉 先生
鈴木歯科医院 鈴木真名 先生
昨今、マイクロスコープでの治療がスタンダードになりつつある。そのマイクロスコープを用いての治療を20年前から行っている鈴木真名先生の講演から始まった。鈴木先生は常に「最小限の切開と縫合で、最大限の効果を得るためにはどうしたらいいか」を考えて組織の良好な創傷治癒を促す治療を行っている。その為には、明確な視野を得れる事、器具がしっかり到達する事、歯肉弁が閉じれる事、血流が保てる事と明言された。今後、論文化を目指して診療を行っているXYZ法は、Distal Wedge法の弱点を克服できる画期的な手法として発表された。
続いて2021年に「イラスト・写真・動画で学ぶ!低侵襲 歯周組織再生療法」を出版された山口先生による再生療法をマイクロスコープを用いたフラップデザインについて御講演頂いた。マイクロスコープ登場により再生療法の成功率を左右する初期閉鎖が得られるようになった。そこで様々な臨床例を元に垂直性の骨欠損からさらに根露出や分岐部病変を併発したケースを発表された。治療経過も良好なケースも多く、今後再生療法を始めようと思っている先生方にもとっても為になる発表であった。
技術紹介
遠隔手術支援によるペリオドンタルマイクロサージェリー
ありす歯科医院 大河原純也 先生
鈴木歯科医院 鈴木真名 先生
座長の松本先生より紹介があり、大河原先生による遠隔治療について講演された。昨今、医科で応用されている遠隔医療、遠隔診療について歯科ではどのように活用できるかを実際の患者にて行ったことを解説された。VRを使った3Dデジタル顕微鏡を使用し、遠隔にいる専門医の先生も同じ映像を共有し指示を受け、長年の経験や知見を生かした診療が可能になったり、さまざまな専門分野の先生と共有できる。実際に会場と大河原先生のオフィスを繋ぎ画像を共有した状態でデモンストレーションが行われた。
一般講演
包括的歯科治療により審美的、機能的改善が認められた症例
NAKANO DENTAL 中野忠彦 先生
40歳男性の症例が供覧された。主訴は歯をキレイにしたい、歯がすり減ってきてるで口腔内の状態は多量のステインを認め、前歯部叢生、臼歯部クロスバイト、歯頸部に多数歯の充填物や実質欠損があった。データ収集が行われ、しっかりとした診査、前歯部叢生を伴う骨格性3級症例と診断が行われた。
全顎的な矯正治療、上顎犬歯部には歯周形成外科、前歯部ベニア臼歯部アンレーにて治療計画を立案。矯正医との連携で非抜歯での叢生の改善、矯正期間を1年間、生活歯での修復。矯正終了後ワックスアップより補綴の最終的なデザインを決め、NCCLに対し対応し、歯周形成外科を行った。最終補綴物のマテリアルを考察しフルマウスリコンストラクションのケースを供覧され、マクロな視点、ミクロの視点の両者が非常に重要であることがわかったと考察された。
最後に、発表者全員によるパネルディスカッションが行われ、鈴木先生を中心に座長松本先生より各講演の質疑応答が活発に行われ非常に盛り上がった。臨床家が症例を出していきその中で研究していくことも今後重要であると述べられた。山﨑先生からも貴重なコメントをいただいた。
閉会の挨拶として、副会長の北原先生より挨拶があり、5時間に及ぶ例会は盛大に行われた。