【開催報告】日本臨床歯科学会 東京支部 第1回例会

〜〜開催報告〜〜
2026年6月7日(日)、日本臨床歯科学会東京支部2026年度第1回例会が赤坂インターシティコンファレンス the AIRにて開催された。参加申込み数は232名、出席者数は203名で、内訳は歯科医師130名、歯科衛生士32名、歯科技工士36名、その他5名であった。また、賛助企業27社30ブースの企業展示も行われ、盛会となった。
会場では、西山英史先生(東京支部支部長)の挨拶により開会し、長谷川幸生先生の司会進行のもと、午前は教育講演、昼に共催セミナー、午後に2題の一般講演および総合ディスカッションが行われた。


教育講演
「補綴への共闘と共創 ‐20年のパートナーシップとラボコミュニケーション‐」
西山英史先生(西山デンタルオフィス)
高橋健先生(株式会社Smile Exchange)

共催セミナー
「SMOPサージカルガイドの優位性および審美領域のマネージメント」
宇毛玲先生(医療法人社団Uke Dental Office)
協賛企業:株式会社アルタデント

一般講演1
「Transition from analog to digital workflow in full mouth reconstruction」
柏木了先生(柏木歯科)
菅野雅人先生(株式会社miyabi)

一般講演2
「SMILE」
荻原太郎先生(グランドメゾンデンタルクリニック)
小竹脩介先生(株式会社Smile Exchange)

午前の教育講演では、西山英史先生と高橋健先生により、20年にわたる歯科医師と歯科技工士のパートナーシップを通して、補綴治療におけるラボコミュニケーションの本質が示された。特に、患者の主訴をそのまま技工指示にするのではなく、歯軸、切縁位置、歯頸ライン、咬合、軟組織などの診断情報に置き換え、技工士と共有することの重要性が強調された。また、プロビジョナルレストレーションは単なる仮歯ではなく、審美性、咬合、清掃性、歯肉の反応を確認し、ファイナルへつなげるための重要な診断装置であることを再認識した。B.O.P.T.テクニックを応用した歯肉形態のマネージメントや、審美性と機能性を高い次元で両立させた咬合再構成は、長年の連携に裏打ちされた非常に示唆に富む内容であった。
ランチョンセミナーでは、株式会社アルタデントの協賛のもと、宇毛玲先生により「SMOPサージカルガイドの優位性および審美領域のマネージメント」と題した共催セミナーが開催された。審美領域におけるインプラント治療では、補綴主導型の診断と正確な埋入ポジションが治療結果を大きく左右する。デジタルプランニングとサージカルガイドを活用することで、外科処置と補綴設計をより高い精度で連携させることができることが示された。また、歯根の一部を意図的に残すことで唇側骨および軟組織のボリューム維持を図るソケットシールドテクニックについても解説があり、審美領域のインプラント治療における硬・軟組織マネージメントの重要性を再確認する内容であった。
午後の一般講演1では、柏木了先生と菅野雅人先生により、咬合崩壊を呈した症例に対して、CT、IOS、フェイススキャン、顎運動測定器などを活用し、アナログとデジタルを融合したフルマウスリコンストラクションの流れが提示された。デジタル機器は単なる新しいツールではなく、歯科医師と歯科技工士が同じ基準を共有し、治療計画を可視化するために有用であると感じた。また、プロビジョナルで得られた咬合や顎位をファイナルへ正確に移行するための工夫や、チェアサイドでの調整量を減らすためのラボサイドでの咬合調整についても解説があり、非常に臨床的な内容であった。
一般講演2では、荻原太郎先生と小竹脩介先生により、前歯部審美修復、インプラント、ブリッジ、ラミネートベニア、コンポジットレジンなどの症例を通して、患者固有の個性や自然感をどのように補綴物へ反映させるかが示された。審美治療においては、左右対称や白さだけを追求するのではなく、患者の年齢、表情、天然歯の形態、切縁の雰囲気などを考慮することが重要である。特に、患者が広範囲のセラミック治療を希望した症例に対し、ホワイトニングと1歯のみのベニア修復で自然な改善を行ったケースは、必要最小限の治療を選択するうえで示唆に富む内容であった。

総合ディスカッションでは、前歯部既存補綴物を除去した際に、支台歯や歯肉レベルに左右差がある場合の対応について質問があった。回答では、補綴物除去後に初めて分かる支台歯の位置、歯根方向、残存歯質、歯肉のバイオタイプを正確に評価することが重要であると示された。特に薄い歯肉では、過度な形成やプロビジョナルによる圧迫で歯肉退縮を起こすリスクがあるため、歯周外科、CTG、矯正、プロビジョナルによる軟組織の誘導などを含めて総合的に判断する必要がある。


広報・告知の後、松尾幸一先生(東京支部副支部長)による閉会の辞にて本会は幕を閉じた。例会終了後には、赤坂インターシティコンファレンス401・402にて懇親会が開催され、会員同士の親睦を深める機会となった。

今回の例会を通して、ラボコミュニケーションとは単に技工物を依頼するための連絡ではなく、歯科医師と歯科技工士が診査診断、治療計画、プロビジョナル、ファイナルまで同じゴールを共有するための重要な臨床プロセスであることを改めて学んだ。デジタル技術が進歩しても、重要なのは問題点の抽出、治療計画の立案、再評価という基本であり、その情報をいかに正確に共有するかが治療結果を左右する。本例会は、歯科医師と歯科技工士が互いの専門性を尊重し、患者にとってより良い治療結果を共に作り上げることの重要性を再認識する機会となった。
賛助企業
クラレノリタケデンタル株式会社
アルファノート株式会社
インビザライン・ジャパン合同会社
ストローマン・ジャパン株式会社
相田化学工業株式会社
エンビスタジャパン株式会社
株式会社メディカルネット
ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社
ソルベンタム合同会社
デンツプライシロナ株式会社
株式会社アルタデント
株式会社GENOVA
ペントロン・ジャパン株式会社
Ivoclar Vivadent株式会社
コルテンジャパン合同会社
ケンテック株式会社
NPO法人日本歯科医療評価機構
株式会社松風
株式会社デンタリード
株式会社ジーシー
株式会社スマートプラクティスジャパン
ガイストリッヒファーマジャパン株式会社
株式会社ストランザ
科研製薬株式会社
株式会社ガイドデント
株式会社茂久田商会
株式会社エポスカード




