menu

〜開催報告〜 東京SJCDハイジニストミーティング 

 

 

「日本臨床歯科学会東京支部 ハイジニストミーティング」がWEBにて開催されます。

今回の教育講演では、昨年度もご講演いただき受講者の皆様から大変好評だった天野敦雄先生に、再び登壇していただける事になりました。今回はう蝕と歯周病の最新病因論、プロケアとセルフケアの方法に加えて、歯科衛生士も知っておきたい咬合の知識やお口の育て方など幅広くお話いただきます。

 会員発表では、歯科衛生士の三木和子さんに「マイクロスコープを使用したハイジーンワークのすすめ」という演題で発表していただきます。

 WEB開催ですので会場に足を運ばずともどこからでも講演を聞いていただくことができます。もちろん質疑応答の時間も設けております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【日時】  2022年9月18日(日) 10:00~14:15

【演者】

―教育講演―

大阪大学歯学研究科予防歯科学・教授  天野 敦雄 先生

「信頼され愛されるマイ・歯科衛生士になるための5つのポイント! 」

ー会員発表ー

天川デンタルオフィス外苑前 歯科衛生士 三木 和子

「マイクロスコープを使用したハイジーンワークのすすめ」

 

 

 〜〜開催報告〜〜  2022年10月9日 追記 

2022年度日本臨床歯科学会 東京支部ハイジニストミーティングが、ウェビナーにて開催された。

司会は歯科衛生士 富澤季絵さん(原宿デンタルオフィス)が行い、開会の辞に北原信也先生(日本臨床歯科学会 東京支部副会長)よりご挨拶があった。

本年は昨年も大好評であった天野敦雄先生(大阪大学歯学研究科 予防歯科学教授)に再びご登壇頂き、『信頼され愛されるマイ歯科衛生士になるための5つのポイント』という演題でご講演頂いた。

予防歯科学において一番大切なのが”防ぎ守る”これこそが歯科衛生士の仕事である。そのためには患者の信頼を得られる歯科衛生士になって欲しい」と天野先生。

人生100年時代になった今、令和の歯科衛生士は患者さんの歯と口の健康寿命を守るために 科学的な生涯メンテナンスができることを求められる。

第一にプロケア(SC・SRP・PMTC など)、第二にセルフケア(患者教育)、この2つを仕事として出来なくてはいけない。

具体的な内容としてはバイオフィルムの管理者になること。バイオフィルムの攻撃力を常に低い状態に保ち、歯や歯周組織の防御力を上げるのである。

(天野先生の概要定義としてバ イオフィルム=プラーク)

ポイントは最新病因論を理解し予防方法を整理すること。

齲蝕の原因菌はミュータンス連鎖球菌・ビフィズス菌・乳酸菌などだが、齲蝕誘発成分は発酵性糖質、ショ糖・ブドウ糖・果糖・乳糖(母乳など)・調理したデンプンになる。 齲蝕の原因菌がこれらの発酵性糖質を取り込むことで歯周組織とバイオフィルムの均衡が破壊され、バイオフィルムの高病原化dysbiosisが起こり齲蝕と歯周病を発生させる。

食後酸性に傾いたステファンカーブが元に戻るのに30分~120分、その度に歯の脱灰が起こるので、患者には食後すぐブラッシング(できない場合は激しいうがい)してもらうのが望ましい。

表層化脱灰(初期虫歯)が起きてしまった場合は高濃度(9,000ppm)のフッ化物歯面塗布 を3~6ヶ月に1回行ってもらい、家庭では毎日フッ化物含有歯磨剤を使用してもらう。

その際フッ化物配合洗口剤も併用すれば永久歯の活動性齲蝕の回復にも繋がる。また歯牙の状態によりサホライドやFバニッシュ(フッ化物イオン濃度はサホライド48400ppm、Fバ ニッシュ22600ppmになる)を有効的に使用するのも良いと付け加えられた。

更に歯周病の最新病因論の理解にも話が及ぶ。

バイオフィルム内の細菌間では協力して時間と共に病原性を高め、歯周ポケットの内縁上皮に炎症を起こして潰瘍を作り出血させてしまう。

Red-complex bacteriaはその出血を基に必須 栄養素である血漿タンパク質とヘモグロビンのヘミン鉄を供給し歯周病を進行させるので、

原因となる歯周ポケットからの出血を止め健康な歯周組織と低病原性バイオフィルムの均衡 が取れた状態に戻す為にも、定期的なProfessional Oral Careが患者には必要なのである。

また、歯周病と咬合は切っても切れない関係性があるので、悪い咬合状態を見つける目を養って下さいとのこと。

咬合性外傷の影響により歯周病の進行を早め垂直性骨吸収を引き起こしたり、良好なプラー クコントロールだが歯肉から出血があり、なおかつ鈍い咬合痛や

ぼやっとした違和感がある場合は、歯周ポケット内の僅かなプラークに過敏に反応して炎症を引き起こしたりするからである。

外傷性咬合の診査・フレミタスチェックで早期接触を調べ咬合調整時に歯牙のどの部位を削るのかなど、事前配布された資料や関連動画を基に分かりやすく説明して下さった。

その他、健康づくりの話として”お口ポカン・口呼吸”の話では、口呼吸によって口腔内が乾燥していると、歯肉炎や歯周炎・口臭だけでなく味覚障害をも引き起こされるとのこと。

そうならないよう「お口の育て方」という本を参照に、幼少期から食べ方の教育を行う必要があるとお話しされた。

また、患者モチベーションを上げる為の持ちネタ話として”健口により幸せ寿命が伸びる”お話も。

その後の質疑応答も会場やWEBからも沢山寄せられ貴重な3時間となった。

 

次に『マイクロスコープを使用したハイジーンワークのすすめ』と題して、天川デンタルオ フィス外苑前 所属 歯科衛生士 三木和子さんによる会員発表が行われた。

まず初めにマイクロスコープの特徴として”拡大・照明・情報共有”という三大メリットがあり、特に情報共有においては、デジタルカメラやモニターを設置することによって患者やスタッフ間での情報共有がスムーズに行える利点があるとお話しされた。

更に自身の症例をもとに話しは進み、マイクロを使用しながらSRPを行う際などにその動画を患者に見せることによって、治療の内容や必要性をより深く理解してもらえたとのこと。

患者の主訴の1つであった口腔内の嫌な匂いは右下7番遠心面9mmの歯周ポケットからの排膿による物であること、それは初診時から悩ましく続き、ご自身での管理は難しいので歯周外科治療の必要があることをマイクロスコープの動画を見せながら説明。そのおかげで外科処置に消極的だった患者にスムーズに治療を進められ、結果、歯周ポケットは4mm以下に改善。排膿と出血が無くなり、当初の患者の主訴である”口腔内の嫌な匂い”を解消させることが出来た。

この様に、マイクロスコープを使った術前術後のインフォームドコンセントにおいて、患者との信頼関係の構築だけでなく低侵襲治療の提供も出来る、

強い魅力の1つで あると三木さんはお話しされた。

正確な記録と情報共有、Drと同じ目線の精密なケアが出来ることがマイクロスコープのメリットなのだが、実際はマイクロをただ覗けば精密なケアが出来るのではなく、しっかりと視る・診ることで的確に判断し、適切な治療を提供することが大切なのだという天川由美子 院長先生からの言葉を胸に、

日々のハイジーンワークに努めていると三木さんは言う。

全国の歯科衛生士さんが少しずつでもマイクロスコープを使用して診療に当たってくれる様になると嬉しいと締め括られた。

その後の質疑応答では、マイクロスコープに慣れるにはどの様に使用すればいいかという質問に対して、毎日少しずつ、見やすい部位で使用してみたり、静止画を撮影することから始めるのが良いなど、自身の培った様々なテクニックを細かくアドバイスして下さっていた。

 

閉会の辞に日本臨床歯科学会 東京支部 理事 岡口守雄先生よりご挨拶があり、2022年度ハイジニストミーティングは盛会にて幕を閉じた。

来年度の開催内容を今回の セミナーに寄せられたアンケートに沿って考えウェビナーのみならず、フィジカルも含めて開催する予定とのことである。

 

 


お知らせ一覧へ戻る
ページ上部へ