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〜開催報告〜 第7回Web学術大会

 

9月23日(金)10:00~17:30、日本臨床歯科学会 第7回学術大会•総会 オンラインウェビナー配信

〜〜開催報告〜〜  追記10月27日

晩秋とはいえ心地の良い秋晴れの2022年9月23日(金)、第7回 日本臨床歯科学会が山﨑長郎理事長の挨拶と共に開会された。10演目10名の演者が東京に集まり、司会は東京支部山﨑治先生の進行の元、白熱したまた充実の学術大会が行われた。昨年と同様ハイブリッドでの開催となり545名が参加された。今回の第7回学術大会も教育講演や研究発表を据え、充実した内容となった。本大会はコロナ渦において約1年の準備期間を経て、講演会場では大会長である日本臨床歯科学会理事長・山﨑長郎先生、司会進行役であり東京支部理事・ 山﨑治先生をはじめ実行委員会のメンバーを中心に万全の感染症対策のもと行われた。

また山本先生、綿引先生の研究発表はそれぞれのオリジナルアーティクルは英語で投稿されたものであった。現在、日本の歯科界は学術活動のグローバル化により知見を広くし、大きな進化が求められていることなどより英語での発表が行われた。

理事長講演

「気道を考慮した新たなる補綴治療の視点~新しいマージン設定コンセプト(MTAP)~」

原宿デンタルオフィス 山﨑 長郎 先生

近年、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、現在の補綴医が考慮すべき事項に取り入れ始めている。御自身のケースより閉塞性無呼吸症候群かつ骨格性下顎前突患者に対して、Loiらのバーティカルプレパレーションを応用することで補綴的なアプローチを示された。ファイナルではMTAPを用いることで咬合接触や形態が損なわれている部分に対して咬合接触の改善と前歯部の審美的な改善、そして頭部X線規格写真による気道の改善を示された。

研究発表

「日本人歯科受診者の2018年AAP/EFP歯周炎新分類による歯周炎の有病率と重度歯周炎患者(ステージⅢ・Ⅳ)の割合に関する多施設共同断面研究」

山口歯科医院 山口文誉 先生

2018年にAAPおよびEFPが発表した歯周病の新分類により治療の方向性と未来の疾病活動性を示した。それをもとに12施設にて日本人の受診者におけるステージⅢ・Ⅳの割合、歯周病の有病率について評価された。

その結果、歯周炎と年齢および重度歯周炎と年齢に関しては相関性が得られたこと、また重度歯周炎と喫煙、糖尿病、性別に相関性は得られなかったことを示された。

研究発表

「矯正歯科治療を開始した中高年患者における下顎前歯叢生と歯肉退縮の関係について」

さとみ矯正歯科 内藤聡美先生

近年、歯肉退縮が問題視されてきた。

歯肉退縮量をPD、CALから算出、歯肉の厚みを透過性から算出していくことで歯肉の薄さと歯肉退縮量の相関性を評価された。また模型より下顎前歯叢生の距離から歯肉退縮の相関関係を示された。

その結果、下顎前歯部叢生量5mm以上における歯肉退縮の発生において有意な差が認められたものの、PD,BOPでは有意さが認められなかった。また薄い歯肉による退縮と矯正治療の唇側傾斜には強い相関が認められたことを示された。

研究発表

「The effect of inter proximal distance on the accuracy of digital impressions for laminate veneers:preparation design of inter proximal spaces」

医療法人スマイルプラン やまもと歯科クリニック 山本恒一先生

ラミネートベニアを形成し、スキャナー(CEREC PRIMESCAN)を用いた光学印象においてコンタクトの間隔がどのくらいまでの幅が読み取れるかをコンタクトの上部、中央、下部の三つに分けて計測を行った。

その結果0.5mmでは98.8%の成功率が得られ、0.7mmでは100%における成功率が得られた。デジタル印象におい0.7mmのコンタクトであれば高い成功率を持って印象が可能であることを示された。

研究発表

「Optimized periodontal regeneration for ortho: a case series」

東京日本橋AQUA歯科 矯正歯科包括CLINIC 綿引淳一先生

近年、矯正治療と歯周再生療法の融合が注目されている。その中で自身が唇頬側組織欠損分類(Watahikiの分類)をそれぞれ薄い歯肉、フェネストレ-ション、歯肉退縮の3つに分けて示され、そのそれぞれにOptimized periodontal regeneration for Ortho

 (O-pro) procedure(1~3)を細かい適応症も含め示された。

それぞれの術式は歯の位置を再生手術に適した位置まで改善する目的、また歯根膜周囲の血流の増加による再生を期待する目的から矯正治療途中に行うことなどを示し、O-pro法は従来の方法よりも優れた結果が得られたことを結論づけた。

臨床講演

「歯列狭窄をともなう閉塞性睡眠時無呼吸患者へ行った

 咬合再構成の一例」 

パークサイドデンタルオフィス 吉田茂治先生

閉塞性睡眠時無呼吸症を認め,気道閉塞の軽減を目的に歯列拡大を含む全顎的矯正治療を提案したが患者からの同意を得られず,補綴的に咬合再構成を行った症例を御供覧された。

睡眠時無呼吸症のスクリーニング検査(精密検査,施設外睡眠検査)の手法や適応症,検査値について示された。また補綴装置の形態を考慮し舌房を侵害しない設計とし,口腔内装置製作に際し適切な下顎位や開口量について文献と共に示された。

臨床講演

「フェイシャルパターンを考慮し咬合高径を決定した一症例」

デンタルクリニックアレーズ銀座 中村茂人先生

過去の矯正歯科治療後に審美性・機能性に障害を訴えた患者に対し,セファロ分析を活用し,患者の顔貌のタイプと水平的な下顎位の変化を考慮し指標を立てられた。

再度矯正歯科治療を併用し,最終的にオーバーレイレストレーションを用いて口腔内にて咬合高径を決定した症例を供覧頂いた。咬合高径の指標として今回山下らの計算式を参考にセファロ分析の数値を当てはめ治療目標とした。山下らの数式が有用な可能性が示唆されたが,今回の症例の数年後の経過報告や複数症例での検証に期待したい。

臨床講演

「前歯部開咬をともなう重度歯周炎患者に矯正・インプラント治療を行った一症例」 

大森歯科医院 大森有樹先生

重度歯周炎に罹患し前歯部開咬によりアンテリアガイダンスが欠如した患者に対し歯周病治療・インプラント治療・矯正歯科治療を行った症例を供覧された。歯科臨床の目的はLongevityでありその実現にはカリエス・ペリオ・力のコントロールが重要であること,力のリスク診断のプロトコールと咬合治療介入の基準を示された上で不正咬合と病的咬合の違いや病的咬合と診断された際に咬合治療が必要である事を示された。

臨床講演

「歯冠形態と歯肉レベルを変更することによって前歯部審美障害の改善を行なった一症例」

菊池歯科矯正歯科医院 菊池大輔先生

上顎前歯部領域を中心とした審美的・機能的な問題があり,歯周形成外科やインプラント治療を含めた全顎的治療を行なった症例を供覧頂いた。フェイススキャナーやセファロ分析を用い顔貌や口元の診査を行い,歯肉レベルの変更も含めた治療ゴールを設定し,各治療の流れを示された.またクラウンレングスニングの術式に関してOne-stageかTwo-stageの選択基準について文献を踏まえて考察されていた。 

教育講演

「エビデンスに基づいたインプラント補綴治療 」 

伊藤歯科医院 伊藤雄策先生

今日インプラント外科治療では人工物であるインプラントが生体に対して適応し,補綴物が精度高く装着される事が要求される。このような長期的安定が得られる治療ゴール達成のために必要な項目を先人達が示した文献を紐解きながら長期経過症例と共に歴史に沿って解説された。 またSub crestal Conceptの効果を得るための項目を示され,前歯部の崩壊が進行した症例に対しこのコンセプトに従ってインプラント治療を行なった症例を供覧された。

 

後に閉会のお言葉として本多正明先生より「第131回日本補綴歯科学会の共催から続いて活気ある学術大会となった。Dr.Raymond Kim との出会いに始まり,山﨑長郎理事長と共に切磋琢磨し続けてきたものが世の中に認められてきたという証明のためにも,この先永く継続していきたい。」と勇気づけて頂くありがたいお言葉をいただき2022年日本臨床歯科学会第7回学術大会は大成功に終わり幕を閉じた。

 

示説発表

2022年9月22日~9月23日に渡り、御茶ノ水ソラシティーでは第7回学術大会と併せて示説発表も行われた。各支部から全12症例が提示された。提示された示説発表の演題と発表者を以下に示す。

 

「レジンブロックへのフッ化水素酸処理が接着強さに与える影響」

本郷 哲也 ( 本郷デンタルオフィス ) 

「天然歯の保存が困難なためインプラントでの咬合再構成を図った症例」

鎌田 俊(シュンデンタルクリニック)

「歯肉退縮した上顎前歯部にインプラント治療を行なった一症例」 

安立 圭志 ( 医療法人社団 Pierre Oge 大桑歯科 ) 

「患者のライフステージを考慮した治療計画立案における1考察

武井 賢郎 ( たけい歯科クリニック ) 

「垂直性骨吸収を伴う広汎型重度慢性歯周炎患者に対してインプラントを

用いて咬合 再構成した症例」
中野 忠彦 (NAKANO DENTAL) 

「デジタル機器を応用した MI 審美修復症例」 

吉木 雄一朗 ( 吉木デンタルクリニック ) 

「インプラントオーバーデンチャーにおける咀嚼能力の主観的評価と

客観的評価の変化」

浜田 英輝 ( さくら歯科 ) 

「プロビジョナルレストレーションの重要性 」

加藤 晴康 (Dental Office Haru) 

「長年放置された多数歯欠損にインプラントを用いて咬合再構成した症例 

安冨 哲士 ( やすとみ歯科医院 ) 

「デジタルを活用した上顎無歯顎インプラント補綴の 1 症例

山口 利浩 ( エンゼル歯科 ) 

「先天性欠損症例に対して接着ブリッジによる補綴修復 

豊田 正仰 ( とよだ歯科医院 ) 

「永久歯先天性欠如と前歯部開咬伴う空隙歯列に対して矯正治療と

ラミネートべニア修復にて改善を図った症例」
原田 篤志 ((医)はらだ歯科・矯正歯科 


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