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〜開催報告〜 日本臨床歯科学会 東京支部 第1回 Webinar ステップアップミーティング 

日時】 20228 7  12 00

【演者】  〜教育講演〜  

綿引淳一 先生(東京日本橋AQUA歯科・矯正歯科 包括 CLINIC

「矯正診断が導く全顎歯科治療計画に関して」

            

〜一般講演1〜 座長:栗原一雄 先生  

荻原太郎 先生(Grand maison dental clinic

MI(Minimal Intervention)に基づいた咬合再構成により審美的改善を図った一症例」

 

〜一般講演2〜 座長:新藤有道 先生

羽鳥友子 先生(はとり歯科

「上顎中切歯1歯欠損に対しインプラント補綴を行なった症例」

 

〜〜追記〜〜

2022年8月7日(日)12:00より 

日本臨床歯科学会東京支部 第一回ステップアップミーティングが

お茶の水ソラシティよりウェビナー形式(zoom)で開催された。

またコロナ感染者が増加する中、徹底された感染防止対策のもと行われた。

武川泰久先生による司会、日本臨床歯科学会理事である中村茂人先生の開会の辞と共に開演された。

教育講演 

「矯正診断が導く全顎歯科治療計画に関して」

東京日本橋 AQUA 歯科・矯正歯科 包括 CLINIC 

綿引淳一 先生

包括的な治療診断にあたり、矯正専門医がセファロ分析をどう利用しているのか講演していただいた。

セファロの利用について以下の5つのTopicに分けられて話された。

 『1.矯正治療のゴールは何処を目指すの?』ではTweedやAndrew’six keys to occlusionを参考に包括的矯正歯科治療において目指すべき理想咬合Watahikiの12keys to Ideal Occulusionについて述べられた。

『2.セファロ分析から治療目標って分かるの?』では近年のアメリカ矯正学の教科書にもなっているWilliam Robert Profifit先生の本よりセファロ分析の正しい利用法を説明された。

セファロの数値を単純に当てはめるべきではなく患者ごとに問題点を総合的に判断し治療計画の立案の重要性を述べられた。 

『3.セファロ分析って何が分かるの?』では1頭蓋・頭蓋骨、2上顎骨・鼻上顎複合体、

3下顎骨、4上顎の歯と歯槽突起、5下顎の歯と歯槽突起の解剖学的セグメントの相互関係を明らかにすることと述べられた。また、セファロは数値化されるため術前、術後の評価にとても有効な方法であることを強調された。

『4.セファロ分析ってどの値を見ればいいの?』では側方、正貌セファロでのここだけは押さえて欲しいポイントを端的に説明された。また、テンプレート分析、FH,SN基準面の決定、Ballardの骨格性分類、フェイシャルパターン、重ね合わせ分析について説明していただいた。

 『5.セファロ分析を治療計画にどう生かせばいいの?』では綿引先生が提唱するデュアルインサイザルプランニング法(側貌セファロ分析を用い上下顎2つのインサイザルポジションを考慮した方法)について実際の症例を通して述べられた。治療計画の合間に定期的にセファロ写真を撮ることで、計画通り進んでいるかモニタリングができると同時にワックスアップ、セットアップモデルを繋ぐ鍵になると教えていただいた。

 矯正及びセファロ分析は、全顎治療計画を立案する上で重要な指標になるが、どう自身の臨床に取り組めば良いのか難しいところがある。今回の講演はとても分かりやすくその敷居を下げ、明日からの臨床に取り入れてみようと思う内容であった。

一般講演1

「MI(Minimal Intervention)に基づいた

  咬合再構成により審美的改善を図った一症例」

  Grand maison dental clinic
  荻原太郎 先生

  座長:栗原一雄先生 

「矯正治療をしたらスマイル時、前歯が見えなくなってしまった」という主訴で来院された50代女性に審美的、機能的回復のため咬合再構成を行ったケースについて発表された。

矯正前と矯正後のセファロ分析を行ったところ、7年という長い治療期間のためか咬合高径の低下が起こり、顎位は反時計回りに回転し、上顎前歯部の摩耗していた。

治療計画としてモックアップベニアによる前歯部の審美的回復を確認し、インサイザルポジションを決定された。そして既存の修復物、補綴物をアドオンして下顎前歯からアンチモンソンカーブしていた咬合平面をカンペル平面に近づけるように咬合挙上を計画された。その後、プロビジョナルレストレーションに置き換え、顎位、口腔周囲筋の安定を確認された。最小限のプレパレーションによるラミネートベニア、ダイレクトボンディング、オクルーザルベニア、クラウンを用いてファイナルレストレーションへと移行された。 

非常に綺麗な仕上がりであり、荻原先生の診療のクオリティーの高さを窺えるケースプレゼンテーションであった。更なる活躍を期待したい。

一般講演2

「上顎中切歯 1 歯欠損に対しインプラント補綴を行なった症例 」

 はとり歯科

   羽鳥友子 先生

 座長:新藤有道先生

上顎中切歯の破折のために来院された37歳女性へ審美的安定を考慮し抜歯を前提とした矯正的挺出後、抜歯即時インプラント治療を行なったケースについて発表された。

患歯は骨頂の位置にて横破折をしており、歯冠歯根比を考慮すると矯正的挺出による保存は適応ではなく抜歯という診断に至った。その後、インプラント埋入について軟組織と骨の評価を行った。脇知典先生らの即時インプラント埋入のためのCTによる骨の評価によるリサーチ、土屋賢司先生のプロトコール、日高豊彦先生のプロトコールを参考に根尖側、口蓋側、唇側に抜歯即時できるだけの骨量があると診断された。

軟組織の評価ではKois’Five Diagnostic Keysを参考にして歯肉のタイプが抜歯即時にはハイリスクであると考えられた。そのため、抜歯予定の歯の矯正的提出を行うことによって軟組織の増生を行いリスクの軽減を図った。

 充分な歯肉の増生を確認後、ノーベルガイドを用いて抜歯即時インプラントを行った。

初期固定が弱かったため、同日でのプロビジョナルの装着は行わず、待機期間を経ての補綴となった。

 歯間乳頭も温存され、ファイナルのセット後の歯肉形態は素晴らしい状態であった。文献等を参考にし、唇側板の吸収の形態変化を予見し辺縁歯肉の位置の変化を最小限にすることでこの結果に結びついたと思われる。

 

日本臨床歯科学会理事である加部聡一先生の閉会の辞により第一回ステップアップミーティングは大成功に終わり幕を閉じた。

文責:日本臨床歯科学会東京支部広報委員会

       遠藤元気、堀切雅文、山口宜伸


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