【開催報告】第9回日本臨床歯科学会 合同例会 in名古屋
日本臨床歯科学会 合同例会
日時 2024年10月26日(土)13:00〜18:35 懇親会 19:20~21:20
2024年10月27日(日)9:00〜14:00
場所 愛知県名古屋市 御園座
形式:現地開催
<ゴルフコンペ>
合同例会前日は、愛知カンツリー倶楽部(東山コース)にて早朝8:00から全12支部よりゴルフ好きの先生方、メーカーの方々計80名が集まり、親睦ゴルフ大会と懇親会が開催された。天候にも恵まれ、緑豊かなゴルフコースで、参加者の皆さんが親睦を深め、大変有意義な時間を過ごした。
12支部対抗の団体戦が行われ、東京支部が1位を獲得した。
日常の診療室から離れ自然の中でのプレーに参加者は癒された。
次回は、2年後京都にて開催される予定、会員皆さんもご参加されてみてはいかがでしょうか?
<開会式>
初めに、大会長の吉木雄一郎先生の挨拶にて名古屋合同例会が開催され、全国から527名が参加、東京支部からの参加者は98名だった。
今回、名古屋のシンボルの一つでもある御園座(みそのざ)にて開催、医学会が開催されることは初めてとのことであった。さらに今回は日本補綴歯科学会、韓国SKCDからの参加もあり、多様性のある合同例会として新たな一歩を踏み出すこととなった。日本臨床歯科学会理事長山﨑長郎先生、副理事長本多正明先生から挨拶をいただき、各支部代表先生方によるケースプレゼンテーションの幕が開けた。
<プログラム>
1日目
安田裕 名古屋支部
「下顎位が不安定な患者に対しMIコンセプトで治療咬合を付与した一症例」
奥田浩規 大阪支部
「Strategic Treatment Sequencing in Comprehensive Reconstruction」
金子一平 四国支部
「前歯部に結合組織移植術と矯正治療を併用して審美障害を改善した症例」
座長:木原俊裕
奥村昌泰 広島支部
「上下顎骨の水平的不調和に対し3Kコンセプトによる補綴治療を行なった一症例」
秋元喜文 福岡支部
「先天性部分性無歯症患者に対して咬合再構成を行った症例」
座長:鈴木真名
安永賢史 北海道支部
「上顎切歯先天欠如に対する治療戦略」
齋藤慶介 東北支部
「咬合崩壊した患者に対してインプラントを用いて咬合再構成を行なった一症例」
座長:小濱忠一
林丈裕 東京支部
「複雑な条件を抱えた下顎側方偏位を伴う難症例に対するインターディシプリナリーマネージメント」
八田知之 熊本支部
「前歯部領域に対し骨造成を行いインプラント治療を行なった一症例」
座長:吉木邦男
1日目の発表終了後、ヒルトン名古屋にて懇親会が行われた。386名もの参加があり大変な盛り上がりとなった。なかなか会えない全国からの参加者と交流を深めることができた。最後には各支部ごとに壇上へ上がりスピーチするなど、一体感を感じられた素晴らしい懇親会だった。
2日目
北逵圭佑 大阪支部
「Optimal treatment plan considering patient’s preferences」
中野忠彦 東京支部
「包括的歯科治療により審美・機能的改善が認められた症例」
加藤健介 新潟支部
「咬合再構成により顎関節症を改善した症例」
座長:伊藤雄策
野村勇太 福岡支部
「前歯部審美障害を伴う過蓋咬合を呈する患者に対し包括的治療を行った一症例」
角田真太郎 北陸支部
「歯の病的移動を伴う咬合崩壊を呈する患者に対して補綴スペースを考慮して咬合再構成を行なった1症例」
河底晴紀 京都支部
「オープンバイト症例におけるエビデンスに基づいた矯正的アプローチ」
座長:土屋賢司
SKCD, Jongwon Yoon
「Improving Mandibular Position with Dental Implants in Cases of Posterior Bite Collapses」
座長:本多正明先生
以下、東京支部代表者2名のケースプレゼンの報告。
「複雑な条件を抱えた下顎側方偏位を伴う難症例に対するインターディシプリナリーマネージメント」
東京支部 吉樹デンタルクリニック 林 丈裕 先生
近年、インプラント治療は予知性に優れた治療法として広く認められ、歯を喪失した患者のQOL向上に貢献しているが、その一方でインプラントの普及とともにトラブル(併発症)も散見される。
今回供覧した症例は、下顎側方偏位を伴う骨格性3級傾向で、他院で埋入されたインプラントにおける技術的併発症(technical complication)を抱えた顎機能に問題を有する患者であった。SJCDチャートに則り診査診断を行い、総義歯学的診査、セファロ分析などの矯正学的診査を基にインプラント計画を立案しその患者に対して正常像と思われる治療ゴールを設定されていた。治療は過去のインプラントを撤去出来ないという制限がある中で、補綴、矯正、歯周、インプラント治療等の専門的知識を駆使し、審美的・機能的な問題点を解決した最終補綴装置を装着し、良好な経過を経ていた。東京SJCDを代表するインプラント治療、矯正治療、審美補綴治療を含む咬合再構成の症例で、圧巻の発表であった。
「包括的歯科治療により審美・機能的改善が認められた症例」
東京支部 NAKANO DENTAL 中野 忠彦先生
1日目の盛り上がりをそのままに、2日目の東京支部代表の中野忠彦先生が花道を渡り、発表が始まった。今回のケースは、審美的要求度の高い患者への審美改善と咀嚼障害を主訴に来院した。矯正治療、歯周形成外科、補綴治療などをSJCDコンセプトに沿って包括的にアプローチを行なった症例である。下顎が後方に転位したオープンバイトを矯正、そして補綴により修復し、歯周形成外科により主訴であるガミースマイルを治療した。一つ一つの処置に精密さと丁寧さがあり、素晴らしい発表だった。再評価時、患者のインタビューにおいて、審美的にも機能的にも満足いったということが伝わった。
<表彰式、閉会式>
今回から初の試みとなる、クラレノリタケジャパンから中野忠彦先生に特別賞、また日本補綴歯科学会窪木理事長から安田裕先生(名古屋支部)に特別賞が授与された。
そして山﨑長郎先生からSJCDアワードが発表された。
第一位中野忠彦先生(東京支部)
第二位林丈裕先生(東京支部)
第三位奥田浩規先生(大阪支部)
東京支部所属の先生が1位2位となった。東京支部会員として大変誇らしい気持ちになった。
閉会式最後は名古屋支部の先生方の挨拶にて第9回日本臨床歯科学会合同例会は大盛況にて幕を閉じた。
次回の開催は、2026年9月5・6日京都。2年後も大変楽しみである。
文責:小川大輔、平澤正洋、植原亮、高島浩二