【参加報告】第134回 日本補綴歯科学会 学術大会 in 長崎
2025年5月16日(金)~18日(日)、日本補綴歯科学会(JPS)第134回学術大会が、長崎・出島メッセを主会場に、ライブ配信・オンデマンド配信を加えたハイブリッド形式で開催されました。
本大会のテーマは、昨年度に引き続き「補綴の未来、歯科の未来。―不易流行(変わらないもの、変えていくもの)」。補綴歯科学は、口腔機能の維持・回復にとどまらず、QOLの向上や健康寿命の延伸にも寄与する重要な領域です。大会長の村田比呂司先生(長崎大学大学院)は、「最先端の研究から臨床の基本、未来を見据えた先進的治療技術まで幅広く得ることができる大会にしたい」と述べられました。
今大会では、日本顎咬合学会との連携協定が締結され、咬合挙上をテーマにした合同シンポジウムが開催されました。また、日本歯科専門医機構による補綴歯科専門医の認定制度も新たに始動。現地・Web合わせて2630名が参加し、非常に盛況な大会となりました。
【懇親会レポート】会員意見交換会で語られた補綴の本質
16日(金)18:30からは、ヒルトン長崎にて会員意見交換会が開催されました(着座+立食形式)。和やかな雰囲気の中にも活発な意見交換が交わされ、大変有意義なひとときとなりました。
JPS理事長・窪木拓男先生(岡山大学)は、本大会テーマ「不易流行」について、松尾芭蕉の芸術観に通じる価値観を紹介。「補綴の本質を大切に守り、次世代へ継承していくことが我々の責務である」と語られ、会場に深い共感が広がりました。
【特別シンポジウム】SJCD×補綴歯科学会 夢の競演!
今回の目玉企画のひとつである特別シンポジウムでは、SJCDと補綴歯科学会を代表するエキスパートが登壇し、「審美補綴治療における到達点と長期的安定性の確保」をテーマに熱いセッションが展開されました。
近年、患者ニーズは「天然歯を超える美しさ」へと進化しており、それをいかに長期間維持するかが大きな課題です。各演者からは実際の臨床症例を通じた具体的なアプローチが紹介され、明日からの診療に直結する学びが多く得られる内容でした。
【ポスター発表・企業展示】幅広い分野からの活発な発表
ポスターセッションでは、以下の8分野にわたり計163題が発表され、現地では活発な討論が交わされました。
• 有床義歯:31題
• クラウンブリッジ:23題
• インプラント:11題
• ニューロサイエンス:9題
• バイオロジー・マテリアル:20題
• 口腔機能:26題
• 教育:8題
• 症例報告:35題
また、企業展示も同会場内で実施され、最新の材料・技術を直接手に取って体感することができました。
【あとがき】次回は名古屋へ!SJCD会員の皆さまへ
補綴歯科学会学術大会は、ハンズオンセミナー、臨床コンペティション、臨床スキルアップセミナー、口演、ランチョンセミナー、イブニングセッションなど多彩なプログラムが用意されており、若手からベテランまで幅広い層にとって実りある内容となっています。
最先端の知見や技術に触れることができる、非常に魅力的な学会です。次回(第135回)は愛知県名古屋市「ウインクあいち」での開催が予定されています。この機会に、SJCD会員の皆さまもぜひご参加してみてはいかがでしょうか。
文責:日本臨床歯科学会東京支部広報委員会
高島浩二