【開催報告】日本臨床歯科学会 SJCD summer seminar 2025 In Modena
2025.9.19
エンツォフェラーリ博物館にてコロナ渦以来久しぶりのサマーセミナーが開催された。遠方であるにもかかわらず全支部合わせ100名近い参加者があった。
1日目はまず午前中は技工士であるGuiseppe Romeo先生が「Technical Diagnostic and Esthetic Approach」という演題で講演された。歯を3~9分割し、そのそれぞれをtriangular,square,ovoidのどれに当てはまるかを考え、補綴を作成しているなどのテクニック的なものとそれに応じた症例を提示して話された。
午後からは大河雅之先生が「The Concept of Veneer Tooth Preparation Design in the Digital Era」という演題で講演された。先日ご執筆された「イノベーションオブラミネートベニア」に記載されているIOSでの研究から得られたラミネートベニアの形成デザインの考え方(トゥースフレクチャーコントロールの観点からエナメル質の可及的保存が重要であり全体的に形成量が従来よりも少なくなったこと)を元に20年間に渡る様々な症例をバイオミメティック・アプローチを前提とした上で話された。
1日目の最後はVincenzo Musella先生による「Anterior Restorations Without Compromise:Clinical and Technical Strategies for Non-Invasive Solutions」という演題で
コンポジットレジンでのモックアップを作成してラミネートベニアでのファイナルを装着していった症例、コンポジットレジンをファイナルとした症例、前歯部の並列インプラントの症例などコーヒーブレイクを挟み前半後半と分け講演された。その後二手に分かれバスにて移動後Vincenzo Musella先生の研修施設を見学させて頂いた。
2025.9.20
2日目は午前中はRenato Cocconi先生が「From Orthodontics to Ortho-facial Dentistry」という演題で講演された。通常の矯正治療を用いて補綴治療と組み合わせてファイナルを装着した症例や難易度の高い骨格性の問題を持つ患者に対して顔貌主導型の外科矯正治療と補綴治療を組み合わせ審美的な基準などを用いながら最終補綴まで進められていたケースを数症例提示し話された。
その後ランチを挟み山﨑長郎先生と鈴木真名先生による「重度の歯周・補綴問題を有する患者に対する学際的マネジメント(インターディシプリナリー)」という演題でコラボレーションで講演された。インプラント周囲の歯周組織不足や前歯部のジンジバルレベルの改善、Brのポンティック基底面の歯周組織不足をインターディシプリナリーアプローチとして補綴前処置での鈴木先生によるマイクロサージェリーに審美修復治療を行った際に審美的になるよう両者が術前に話し合いどのように進めていくかを決めて補綴主導にて治療が進められた。山﨑先生はどの症例においても全体でのマネージメントとしてプロビジョナルレストレーションにて歯周組織とファイナルとの調和ができるようにし、コラボレーションした数症例を提示された。
最後にはDomenico Massironi先生はマイクロスコープを用いた審美修復治療の先生ではありますが、今回は自身が活用されており、会場にも展示されていたITAKAというロボットの咬合器に顎運動を三箇所で読み込ませ口腔内とほぼ近似させていくシステムを用いた審美修復治療のプレゼンテーションをされた。初診時に開口量の少ない患者に対して印象を採得し、ITAKAを用いて機能的に顎位を設定された。さらにその任意の顎位(中心位)から全顎補綴を行われた。非常に難易度の高い症例を提示された。
そしてガラディナーが同博物館内で開催された。今回のSummer seminar はVincenzo Musella先生と山﨑長郎先生との深い友情の下開催されたものであり、後半では中野忠彦先生の司会で記念品の贈答やオペラなどの様々な催しも行われ大盛況のうちに幕を閉じた。
文責:遠藤元気




