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〜開催報告〜 日本臨床歯科学会 東京支部  歯科医師臨床技術向上講習 第3回Web例会

202335日(日)に『日本臨床歯科学会 東京支部  歯科医師臨床技術向上講習 3Web例会』が開催されます。

早いもので今年度の東京SJCD のイベントも今回で最後となりました。今年度最後となる今大会は皆様から多くのご要望をいただいておりました『デジタル補綴治療』について1日を通して皆様と考えていこうと思います。チェアマンにはデジタル補綴治療に精通されている植松厚夫先生(日本臨床歯科学会東京支部理事)にお願いし、 デジタル補綴治療の現況をテーマとし開催いたします。

 教育講演には植松厚夫先生、貞光謙一郎先生、千葉豊和先生、一般講演には田中文博先生、李昌弘先生、遠藤元気先生にご登壇いただきます。演者の先生方は皆様ご存じの通り、歯科界で多岐にわたり第一線でご活躍されているご高名な先生ばかりであります。

今回も皆様の理解を深めるため教育講演の内容を実際の臨床で応用した症例を一般講演として発表いただくスタイルとなっており大変有意義な内容となっております。

皆様、お誘い合わせのうえ是非ご参加いただけますようお願いいたします。

 

日時】    202335  10001620

 

【プログラム】

教育講演1

植松厚夫 先生(ウエマツ歯科医院)

Digitally Guided Oral Rehabilitation -Time Saving & Visualization- 

教育講演2

貞光謙一郎 先生(貞光歯科医院)

「客観的な基準に基づいた歯科治療 -Digitalの活用– 

教育講演3

千葉豊和 先生(南2条千葉歯科クリニック)

トリートメントワークフローの変遷 Transition of Treatment Workflow  一般講演1

田中文博 先生(コアデンタルラボ横浜

「補綴治療で求められるラボサイドのデジタルスキル」

【座長】植松厚夫 先生

一般講演2

李昌弘 先生(プラム四谷歯科クリニック)

「デジタルでの検査を活用した咬合再構成」

【座長】植松厚夫 先生

一般講演3

遠藤元気 先生(遠藤歯科医院

「多数歯欠損症例へのDigital活用」

【座長】植松厚夫 先生

〜〜開催報告〜〜      2023年4月3日 追記

202335()10:00より御茶ノ水ソラシティにて2022年度日本臨床歯科学会東京支部歯科医師臨床技術向上講習 第3回『Web』例会が開催された。今回も感染対策を徹底した上で行われた。司会は滝沢卓也先生でスタートし、東京支部長の大河会長の挨拶から始まった。来年度の標榜としてfor what it`s worthと掲げ縦の糸と横の糸を繋げていきたいと意気込みを話された。また来年度秋開催の日本国際歯科大会の紹介をされた。

今回は『デジタル補綴治療の現況』と言うテーマであった。デジタル補綴治療に精通されている植松厚夫先生(日本臨床歯科学会東京支部理事)をチェアマンとして3名の先生の教育講演と3名の先生の一般講演が行われた。

どの講演、発表もディスカッションが白熱し、大変見応えのあるものであった。

教育講演1

Digitally Guided Oral Rehabilitation -Time Saving & Visualization

ウエマツ歯科医院 植松厚夫先生

まず始めに植松先生より日々の臨床の中でデジタルの有効性や現状について話された。診査、診断にデジタルを使用し、我々日本臨床歯科学会が当初より行っている最終ゴールをイメージしてそのゴールに向かって治療計画を立て、再評価して、治療を進めていくスタイルをより可視化でき、時間の短縮につながるとデジタル技術の有用性を存分に話された。その中で感じてきたバーチャル咬合器の限界や実際の今まで使用してきた咬合器の問題などもデジタル技術があるからこそわかってきた問題点やこれからの課題なども話された。

またオベイドポンティックのような1歯症例やバーチャルクロスマウントにより行われた全顎症例など多くの症例をデジタル技術を応用して治療し、大変素晴らしい結果で患者さんも非常に満足している様子だった。大変勉強になる講演であった。

教育講演2

 「客観的な基準に基づいた歯科治療ーDigitalの活用ー」

 貞光歯科医院 貞光謙一郎先生

今まで培われてきた知識と経験で治療を行い、発表を行うと君の発表は知識的でエビデンスに基づくものではないという苦言を呈されたことからデジタル技術の応用が始まったと話された。測色計を使用して、色を客観的に評価し、Bite eye Be Iを使用して、咬合接触状態の評価を行い、デジタル式顎運動機能装置を使用し、顎運動機能採得し、数値化して評価を行い、治療を行っていく。

今まで行ってきた治療を客観的に評価して治療を評価できるようになったので難しい症例は難しい症例とわかるようになり、大変有効的であると話された。

教育講演3

 「トリートメントワークフローの変遷 Transition of Treatment Workflow」

 南2条千葉歯科クリニック 千葉豊和先生

アナログでの治療の流れとデジタルでの治療の流れを話された。現在の流れはiphoneで顔貌を動画と写真で撮影して、口腔内写真、模型スキャン、CRバイト、デジタルワックスアップを行い、PMMAのプロビジョナルレストレーションで評価して、支台歯のみシリコーン印象を行うとのことであった。

プロビジョナルレストレーションの再現はデジタルの方が非常にやりやすいとして、楽に行えるのでデジタル技術は非常に良いと話された。ただデジタルではかみあわない部分もあるのでその部分は従来の技術を応用して、治療を行っているとのことだ。

またパネルディスカッションではデジタルの疑問や問題点に多くの質問があり盛況で午前の部は終わった。

一般講演1

補綴治療で求められるラボサイドのデジタルスキル

田中文博 先生 株式会社 コアデンタルラボ横浜

植松先生とデジタルを手掛けた初期段階から「どうしたらこれまでアナログで行なっていた診査・診断や補綴治療にデジタル技術を反映し活用することが出来るか」ということをディスカッションし、共闘し現在のDigitally Guided Oral Rehabilitationの流れを確立した技工士の田中先生にご講演頂いた。CTのDICOMデータをサーフェイスシンタリング処理し3DSTLデータ化し、IOSのスキャンデータとマッチングする方法について解説して頂いた。

その際に舌と歯肉の境界を明確にするためにCT撮影時には空気層を作ることや、サーフェイスシンタリングの際にCT値の違いにより下顎頭などが抜け落ちてしまう場合、下顎頭を水平面と矢状面で選択し部分的にサーフェイスシンタリングを行いマッチングさせるなど臨床で実践する上で重要な勘所について解説して頂いた。 

一般講演2 

デジタルでの検査を活用した咬合再構成

李昌弘 先生 プラム四谷歯科クリニック

患者は歯を綺麗にしてほしいという主訴で来院した中高年の男性であった。部分的に抜歯適応の歯牙を認め、中心位と咬頭嵌合位の差異を認め咬合崩壊を起こしつつある口腔内環境を呈していた。従来アナログで行なっていたインサイザルエッジポジション、咬合平面、咬合高径などの評価をCT、セファロ、IOSスキャンデータ、フェイススキャンデータなどのデジタルデータをマッチングし診査・診断を進めていた。

プロビジョナルでの再評価や最終補綴の形態の決定などもデジタルデータを基にラボサイドとコミュニケーションを取り、最終補綴へと移行されていた。まさに教育講演で解説して頂いた「Digitally Guided Oral Rehabilitation」を日常臨床に落とし込んだ素晴らしい症例であった。 

一般講演3

多数歯欠損症例へのDigital活用

 遠藤元気 先生  遠藤歯科医院

患者は前歯のBrが外れたという主訴で来院された中高年の男性であった。骨格性Ⅱ級の多数歯欠損患者に対し、最終補綴装置としてボーンアンカードブリッジを選択された。診査・診断からプロビジョナライゼーションまではコンベンショナルな方法で行い、2ndプロビジョナルレストレーションから最終補綴への移行にデジタル技術を選択的に活用されていた。

デジタルクロスマウントを行いプロビジョナルレストレーションで煮詰めた顎位を最終補綴へ反映されており、難易度の高い咬合再構成の治療過程の詳細を解説して頂き非常に興味深い内容であった。

 

全ての講演終了後、総合ディスカッションを行った。植松先生と田中先生へ多くの質問があり、臨床に直結するラボサイドでのデジタルデータの重ね合わせや日常臨床へどの様に落とし込んでいくかについての関心が高いことが伺われた。またデジタル咬合器を用いるか実際の患者の顎運動の下顎頭の位置のデジタルデータを用いて治療を計画していくかなどSJCDらしいディスカッションも展開された。 

 最後に閉会の挨拶として副会長の北原先生より「植松先生、貞光先生、千葉先生、田中先生のデジタル四天王の先生方によるデジタル祭りとなった。これからの若い先生にとってはデジタル歯科治療が日常臨床で一般的となるためデジタルの知識は今後必須となる。これからデジタルを始めようと考えている先生にとってスタートアップとなる素晴らしい例会となった。」という称賛のお言葉を頂き、日本臨床歯科学会東京支部第3回例会は盛大な拍手と共に幕を締めた。 


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