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2022年度 日本臨床歯科学会 東京支部 第一回Web例会 開催報告

 

【日時】 202165日(日) 10001730 

【演者】 -教育講演-    土屋賢司 先生(土屋歯科クリニック&works)

「咬合治療を成功に導く治療計画とその実践」

 ~The treatment planning and procedure leading   to successful occlusal treatment

一般講演1   松尾幸一 先生(中野デンタルクリニック)

「上顎前歯部インプラントをアンカーとして矯正治療を用いて咬合再構成した症例」

【座長】山﨑治 先生

一般講演2   吉田茂治 先生(パークサイドデンタルオフィス)

「矯正治療後の顎位の不正に対し補綴的に改善を図った症例」

【座長】加部聡一 先生

一般講演3   中村茂人 先生(デンタルクリニックアレーズ銀座)

「不正咬合に対して顎位を考慮し口腔リハビリテーションを行った症例」

【座長】西山英史 先生

一般講演4   林丈裕 先生(吉樹デンタルクリニック)

「下顎側方偏位を伴う骨格性3級症例に対するインターディシプリナリーアプローチ」

【座長】新藤有道 先生


2022.6.17  追記

2022年度 日本臨床歯科学会 東京支部 第一回Web例会 開催報告

202265日、2022年度初開催となる日本臨床歯科学会東京支部第1回『web』例会が行われた。テーマを『咬合治療を成功に導くための包括的治療戦略』とし、チェアマンを土屋賢司先生(日本臨床歯科学会専務理事)が務めた。

武川先生による司会、大河会長の挨拶のもと始まった。挨拶の冒頭、5月に亡くなられた皆川仁先生を追悼し、黙祷が行われた。会場には、今年11月広島で行われる合同例会のSJCD広島支部の方も視察に訪れた。また今年7月大阪で行われる日本補綴歯科学会、日本臨床歯科学会による共同開催にあたり、日本補綴歯科学会第131回学術大会の大会長である窪木教授から、参加方法の案内があった。教育講演は土屋賢司先生、一般講演に松尾幸一先生(座長山﨑治先生)、吉田茂治先生(座長加部聡一先生)、中村茂人先生(座長西山英史先生)、林丈裕先生(座長新道有道先生)が教壇に立ち、どの講演も大変見応えのある講演であった。

 

教育講演1

咬合治療を成功に導く治療計画とその実践 part1

The treatment planning and procedure leading to successfull occlusal treatment

土屋歯科クリニック&ワークス 土屋賢司先生

午前と午後の二度にわたり講演をされた。

土屋先生は、20年程前から咬合治療をスタートし、試行錯誤しながら、中切歯のインサイザルエッジポジションとセファログラムによる骨格と歯列の関係を可視化し、一つの基準とし実践してきた。そして補綴医として咬合力に対するマネジメントをその基準を元にオクルーザルハイト、プレーン、カーブを考察し今回は3つのケースを例に解説された。下顎枝や骨体が長いケースを骨格的にどうアプローチするか、熟練された治療戦略はどのケースもさすがであった。

 

一般講演1

上顎前歯部インプラントをアンカーとして矯正治療を用いて咬合再構成した症例

中野デンタルクリニック 松尾 幸一先生

松尾先生は補綴医として、矯正、インプラントを用いて咬合再構成を行っている。

そのゴールは適切な犬歯関係とアンテリアカップリングを確立することを目指している。今回は矯正とインプラントを用いて咬合再構成を行った症例を元に、矯正治療と補綴・インプラントの治療手順について、またセットアップ模型の作り方、注意点など詳しく講演頂いた。インプラントを先に埋入するか、矯正を先にするかは意見が分かれるところだが、松尾先生は3歯以上の前歯の中間歯欠損の場合は、矯正前にインプラント埋入することが可能だと考察された。

ディスカッションでは、矯正医から見た咬合平面の設定の仕方について討論があった。

 

昼休憩に先立ち、web2020年度平林賞受賞の内野先生のコメントが流れ、その後2021年度のSJCDアワード、平林賞の発表があった。2021年度平林賞は高山祐輔先生、中野忠彦先生が受賞された。SJCDアワードの受賞者はいなかった。

 

一般講演2

矯正治療後の顎位の不正に対して補綴的に改善を図った症例

パークサイドデンタルオフィス 吉田 茂治先生

症例は、矯正後に原因不明の痛みに悩まされる患者の発表だった。前歯のアンテリアガイダンスの欠如がある患者に対し前歯部にオーバーレイを用い、早期接触の除去後、痛みの消失を確認し、患者希望により矯正治療を行わず、吉田先生はいかに歯質切削量を最小限して審美的にも機能的にも回復するかを考察した。

そして術式にはサンドウィッチベニアテクニックを用いて修復を行った。それにより審美的機能的改善を行った、吉田先生の考え込まれた治療計画に感動を覚えた。

 

一般講演3

不正咬合に対して顎位を考慮し口腔リハビリテーションを行った症例

デンタルクリニックアレーズ銀座 中村 茂人先生

中村先生は下顎位が後方に偏位した骨格性2級の症例に関して、筋のDeprogrammingをすることで、早期接触を除去し下顎が反時計回りの回転し下顎位が正常位に収まる事を確認した。そこで下顎臼歯部に補綴スペースが生じ、オーバーレイレストレーションにて検証後、Onlay restorationを用いて機能と審美の改善が行われた症例だった。

ディスカッションでは、Deprogrammingで顆頭の位置が滑走運動せずに回転運動の範囲なのか、議論の的になった。しかしながら症例のファイナルの仕上がりはさすが中村先生であった。

 

一般講演4

下顎側方位を伴う骨格生3級症例に対するインターディシプリナリーアプローチ

吉樹デンタルクリニック 林 丈裕先生

他院で埋入された既存のインプラントがある症例。下顎側方変異を伴う骨格性3級により顎機能に問題を抱える中、適切な咬合高径、バーティカルストップ、アンテリアガイダンスを獲得する為、緻密な診査診断、治療計画を立案し行った。

左側の既存インプランントと右側の新たに埋入したインプラントを補綴的に連結する際、既存インプラントのコネクションレベルを同一にしたり、既存のインプラントとの平行性が取れないためにデジタルでの印象をするなど、今後同じ様な状況に私達が陥った時に参考になる内容だった。機能的にも審美的にも改善され素晴らしいケースだった。

 

教育講演2

咬合治療を成功に導く治療計画とその実践 part2

The treatment planning and procedure leading to successfull occlusal treatment

土屋歯科クリニック&ワークス 土屋賢司先生

最後は土屋賢司先生によるPart2の講演。ここではオープンバイト、ディープバイト、デュアルバイトのケースを紹介された。オープンバイトは、医原性のケースもあり、患者がナーバスに陥っている場合がある。症例ではアンテリアガイダンス獲得の為、再度行う矯正は最小限に留め、咬合の安定を獲得していた。

デュアルバイトは歯と骨格が調和してないケースが多く早期接触や咬耗していて、特にホリゾンタルパターンのケースが危険だと言う。症例も激しい咬耗を伴うパターンで、土屋先生だからこそ最終ゴールまでたどり着いた圧巻の症例であった。ディスカッションでは左下8を抜くべきだったのか多くの先生方を巻き込んだディスカッションが行われた。

どの症例も長期経過症例の発表で経過も良好だった、それは土屋先生の長年の咬合再構成の治療戦略が正しかったと言えるのではないだろうか。

 

最後に閉会の挨拶として、副会長の北原先生より挨拶があり約7時間に及ぶ2022年度第1web例会は盛会にて幕を閉じた。

 


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